私が以前に働いていた会社で何人かの社員が定年を迎えて退職する姿を見てきました。
その度に、「まだ働きたいのではないだろうか」とか、「まだまだやれる方々なのに」と思うことがよくありました。
日本はすっかり高齢化社会になり若手不足が深刻化していますが、一方で高齢者の居場所や生きがいやコミュニティが不足しているのも事実です。
そのような中で、画一的に定年を定めることはどうかと思います。
もちろん高年齢者雇用安定法によって、65歳までの雇用確保が義務付けられましたが、それでも65歳を迎える人々の中にはもっと働きたいと思われている方々がいるのではないかと思います。
高齢者と一言で言っても、その状態はまちまちで、とても健康で活力にみなぎっている方々もおられます。
そのような状況の中で会社はもう少し柔軟になってもよいように思います。
福島県にある体操着を製造している会社 株式会社クラロンでは、65歳が定年ですが。本人が希望すれば1年ごとに契約を更新し正社員として働き続けることができるということです。ですから社員は働きたいと思うまで会社で働き続けることができるのです。
経営者がまさに社員に生きる場所を与えているのです。これは単なる雇用関係を超えています。
経営者が社員の人生や幸せを真剣に考えているのです。
会社の利益や業績のために、社員を手段や道具と見る経営者が多くいます。
しかし一方で、社員の幸せを会社の存在する目的としている経営者もいるのです。
社員はそれらを無意識のうちに嗅ぎ分けています。
そして社員はその空気を吸って働くのです。社員がどちらの経営者に信頼を寄せて、会社に貢献しようとするか、明白なように思います。
経営者はもう一度、定年について考えてみてはと思います。
そのときには、自分が社員を手段と見ているか、目的と見ているか、自分の内面を見つめ直してほしいと思います。