長らく会社で働いていると、会社の慣習やあり方が知らないうちに私たちの考え方や言動に染み付いていることがあります。よくよく考えてみると「これっておかしくない?」と思えるようなことも、日常的にそのような環境に身を置いているとそれが普通なんだと思ってしまうのです。
例えば、会社でよく「上司」「部下」という言葉を使いますが、このような呼び方を普通に使っていると、「上司は上で、部下は下なんだ」と思うようになります。
すると、会社で上司が部下に対し、かなり横柄な言い方をしたり、ぶし付けな言い方をしても、「身分の上の者が下の者に言っているのだからしょうがないか」と思ってしまうのです。一方、部下は上司に対しうやうやしく、低姿勢に接するのです。
このような上や下という考えが強くなると、パワハラを助長したりして社員のメンタルに悪影響を及ぼします。
私も長らく会社で働いてきたので、そのような縦の関係を見てきましたが、個人的にはあまり好きなものではありません。「人は誰しも平等である」と考えるからです。
縦の関係においても信頼関係や絆が生まれることもありますが、役職による上下意識が強いと信頼関係を損なってしまうように思います。
職場で「マネージャー」というのは役割であって、誰かの上に立つものという意味ではありません。
「マネージャーだから偉いのだ」と考えて威張る人は何かもろさを抱えているように思います。そのような人は自分より権威の高い人には簡単に巻かれてしまうからです。
人はそもそも皆、平等で、一人一人が価値ある存在なのだという考えを持ちたいものです。
人と人との平等な関係から生まれるものがとても多いように思います。
このような上下関係を築こうとする理由の一つは、権威ある者によって上から統制されなければ人は仕事をしないだろうという考えが会社にあるからだと思います。
このような考えが根底にあって組織の文化や制度が生まれてくるのです。
しかし、人を統制することによって得られる成果は、その人が統制されることなく、その人が自発的に生み出す成果に比べてはるかに小さいということが最近の心理学で報告されています。
私たちに知らず知らずに染みついた考えが人や組織の可能性を奪っているのです。
人は誰しも平等であるという原則に立ち返りたいものです。