0・【アンダスタンディング・セオリー】/はじめに :「私たちの抱える問題のすべては認知問題」  

目次

*本ブログは最新のモチベーション・セオリーを皆さまにお届けするものです。【アンダスタンディング・セオリー】の前に付けられたタイトル番号の小さいものから順にお読みすることをお勧めします。

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私たちの抱える問題

私たちの暮らす世界は様々な問題を抱えています。災害・事故・貧困・病気・不況・犯罪・戦争など、暗いニュースは日々私たちのもとに届けられ、私たちは何かを失うのではないか、何かよからぬことが起こるのではないかという漠然とした不安を抱えています。現在、私たちがこのような世界で平安を見出し、その平安に長く留まることはいかにも難しいことのように思われます。それらの問題や捉えどころのない不安について考えるとき、それらを解決できる有効な方法はないものかと考えてしまいます。

私は特に会社という組織で起こる問題についてこれまでよく考えてきました。というのも、私自身が数十年間、一つの会社に属し、そこで働いてきたため、会社はある意味で私にとって一つの世界であり、会社で起こる問題は私に少なからず影響を与えてきたからです。会社で起こる問題はまさに私にとっては現実の問題であり、それらについて考えずにはいられなかったのです。

そして、会社で起こる問題について考えたときに、それらは私の働いていた会社のみならず他の会社でも起こっている問題であり、同様にその他の組織、すなわち、国や政府や学校や家族といった組織においても何か類似した問題が起こっているように感じたのです。更に言うならば、現在世界の至る所で起こっている様々な問題も会社で起こっている問題に何か通じるものがあると感じたのです。

そのように、様々な組織が抱える問題が類似し、共通していると感じるのも、きっとそれらの問題の原因が共通しているからではないかと思われます。つまり、全ての問題は共通した根源的な原因によって生まれているということです。もしそうであるならば、その根源的な原因が分かればあらゆる問題を解決する助けになるはずです。

問題の根源的原因は「認知」である。

では、あらゆる問題に共通した根源的な原因とは一体何でしょうか。本ブログではその原因について述べ、その解決策について論じていきます。問題の根源的な原因を一言で言うならば、それは「認知」です。人の認知が全ての問題を生み出しています。認知とは人が内外の情報をどのように感じ考え捉えるかということです。

問題は外からやってくると感じることもありますが、実際のところ問題は外からやってくるのではなく、私たちの中で作られます。というのも、たとえ外界で何かが起こっても、私たちがそれらを問題と認知しなければそれは問題となることはないからです。つまり、私たちが外界の出来事をどのように感じ考え捉えるかということが問題となるのです。そのような意味で、全ての問題は認知問題と言えるのです。

アメリカの心理学者ロバート・L・リーヒらが行った調査では不安症の人が抱いた心配事の85%は起こらなかったということです。つまり、不安は事実とは異なっており、人によって作られたものであるといことです。

また一方、外界で起こっている問題もその多くは人によって生み出された問題と言えます。人の誤った認知や不足した認知が問題を生み出しています。世界で起こっている戦争・犯罪・飢餓・事故など、また会社で起こっている業績不振・ハラスメント・過剰労働など、家庭で起こっている虐待・不和など。多くの問題が人の認知の誤りや不足によって生み出されています。そのような意味で全ての問題は認知問題と言えるのです。

ここで、今述べた全ての問題が認知問題であるという理由を整理すると次の2つとなります。

①人が物事を問題として捉え、不安や心配を感じることにより問題は作られるため

②人の誤った認知や不足した認知が外界に問題となる悪い状態を生み出しているため

認知問題を解決するセオリー

このように問題の原因が外ではなく内にあるとすれば、アプローチの方法は大きく変わってきます。本ブログではこのような認知問題を解決するために「アンダスタンディング・セオリー」という一つの理論を紹介しています。アンダスタンディング・セオリーとは真実についての深い理解に関する理論です。そして、問題解決のための実践的なメソッドでもあります。

先程述べた誤った認知や不足した認知に対し、真実についての深い理解が存在します。誤った認知は問題の原因となり、真実についての深い理解は解決策となります。これは言うなれば当たり前のことです。間違った考えはトラブルを生み出し、正しい考えは問題を解決します。しかし、現実では当たり前のことが十分理解されていません。多くの人がこの原則を知っているつもりでいますが、この原則にとどまることなく、それを通り過ぎてガチャガチャと外側にある物事をいじくり回しては問題を解決できずにこじらせているのです。私が組織の中で見てきたものもまさにそのような状態であり、これでは問題は解決しないと感じたのです。

この理論を最初に思いついたのは25年前でした。まさに直観によりこの理論のアイデアが浮かんできました。それから今に至るまで様々な現実の問題と照らし合わせながら、この理論を見直し修正してきました。一方、時間が経過する中で、世の中では心理学・脳科学・神経科学などの多くの研究が進められ、人の心のメカニズムに関する有益な科学的情報が得られるようになってきました。おかげで、これらの情報を用いて、理論を裏付け、補強し、実践しやすいメソッドに磨き上げることができたと思っています。本ブログではそれら心理学等の情報を引用しながら本理論を説明していきたいと思います。

本ブログを通して、アンダスタンディング・セオリーを紹介できることを大変嬉しく思い、読者の方々がこの理論によってメリットを得られればと願っています。

真田幸一