ときどき思うのですが、
私たちは、人の性質についてあまりよく理解していないように思います。
私もこれまで、人の性質を理解していなかったため、人の性質に対し真逆なことばかりしてきたように思います。
そして、人を怒らせたり、ガッカリさせたり、やる気を奪ったりして来たのです。
次の「人の2つの性質」がはっきり分かるまではかなり間違いを犯してきました。
「人の2つの性質」
Ⅰ「人は知らないことは行ないたくない」。
Ⅱ「人は行なうことなくして真に知ることはできない」。
この2つの性質について考えると、
「ならどうしたらいいの?」と訊きたくなります。
2つのことが二律背反であることを、アンチノミー(Antinomy)と言います。
つまり、「一つを立てれば、他方が立たず」という状態です。
先に挙げた「人の2つの性質」はまさにアンチノミーです。
しかし、このようなアンチノミーの中で答えを出すことが人の育成では求められます。
人は知らないことをやりたがりませんが、しない限りはそのことを真に理解することはできません。
ではどうすべきでしょうか。
[アイデア①]
未経験者が経験者から体験談を直に聞くことで、未経験者にやったことがないことをイメージしてあたかもやったかのように感じてもらう。(疑似体験)
[アイデア②]
人は未知なことはやりたがらないが、それをやったことのある経験者に同行して一緒に体験することで、未知に対する恐れを軽減しながら未知なことを学ぶ。(同行体験)
これらは例に過ぎませんが「人の2つの性質」を理解しているからこそ考えつくアイデアです。
もし「人の2つの性質」を理解していなければ、きっと人材育成に携わる中で、「なぜあいつは積極的に行動しないのだ」とか、「なぜこれだけ言っても分からないのか」とか言って、ぼやくことになるのです。
私たちが人の認知の仕組みを少し理解するだけで、人々の学びと成長を助けることができるのです。