情報収集は量より質に拘ろう

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皆さんは月に何冊ぐらい本を読みますか?

私は5~10冊ぐらいです。それを聞いて「少ない」と思われるか「多い」と思われるかは、人それぞれかと思いますが、私にはこれぐらいがちょうどいい感じです。たまに1日に何冊も読まれるという方をお見受けしますが、どうしたらそんなに読めるのか秘訣を教えてほしいなあと思います。

もう少し付け加えると、私が読んでいる本というのは全て新しく読む本ばかりではありません。過去に読んだ本も含まれます。つまり私は以前に読んだ本を何度も繰り返し読むタイプなのです。

皆さんの読書スタイルはどんな感じですか。

もう1つ私の読書の特徴をお伝えすると、私は極力電子書籍で本を購入し読むようにしています。その理由の1つは部屋中に本が溢れかえることを防ぎたいからです。これについては共感頂ける方もおられると思います。本というのは本当に場所を取るんですよね。そして、本の上に埃も溜まり掃除も大変ですから。

また、私は過去に読んだ本から情報をしばしば確認したり引用したりすることがあるので、電子書籍のようにスマホで多くの本にアクセスでき、いつでも検索できるというのはとても助かるのです。

さらに私はそれら電子書籍を音声で聞いています。活字が読めない人と揶揄されるかもしれませんが、私は活字を読むよりも聞く方が断然いいようです。車に乗っているときや散歩しているときにも音声で聞けるのはとても助かります。これはAudibleなどの音声書籍のみならずほとんどの電子書籍がスマホのトークバック機能で音声化して聞くことができるので、電子書籍の大きなメリットと言えます。もし本を音声で聞くことができなければ、私の読書量は月にせいぜい4冊までがやっとと思います。

読書スタイルについてお話すると長くなりますが、もう少しお付き合いいただければと思います。私の読む本はかなりジャンルが偏っています。私が読む本は心理学、神経科学、脳科学、経営学、哲学、ビジネス書、自己啓発本などに限られています。一方、小説などのフィックションや歴史書などはほとんど読みません。つまり、自分の仕事に関連する本しか読まないといった感じです。ただ、それらの本を読むのがとても好きなのです。

しかしながら、それら好きなジャンルの本ならば何でも読むかというと必ずしもそうではありません。私は本を購入する前にその内容を注意深く下調べしてから購入するようにしています。その本が読むに値する本かということを気にするのです。下調べと言っても電子書籍の無料サンプルや「試し読み」を閲覧したり、本の講評を読んだりといったことですが、私は読む本を選好みするタイプなのです。

ここでそろそろ本題に入りますが、私は入手する情報については量より質に拘るようにしています。

というのは1度入手した情報はそれを見たり聞いたり読んだりするとき、知らず知らずの内に自分に影響を与えることを知っているからです。

それを心理学ではプライミング効果と呼んでいますが、人は何らかの情報を意識的また無意識的に見たり、聞いたり、読んだりすると、その情報によってその後の言動や思考や感情が知らず知らずのうちに影響されるということです。

ですから、1度何かの本を読めば、そこに書かれている内容によって人は無意識の内に影響を受けるということです。

このプライミング効果については、ニューヨーク大学のジョン・バルフらが実験で報告しています。

彼らは被験者に、ランダムに並ぶ単語を使って文章を完成させるという課題を与えました。与えられた課題には2種類あり、一方には、「強引」「大胆」「無礼」「困らせる」「妨げる」「邪魔する」「侵害する」といった無礼なふるまいに関連する単語群が与えられ、もう一方には「尊敬する」「思いやりのある」「感謝する」「我慢強く」「従う」「丁寧な」「礼儀正しい」といった礼儀正しさに関連する単語群が与えられました。

被験者らは5分ほどで課題を終えたのち、廊下先にある部屋に行き次の実験の担当者と話すよう指示を受けました。しかし、彼らが部屋に着くと、その担当者は他の学生とのやり取りで忙しく、話ができるような状況ではありません。すると、この状況で、無礼な単語群を用いて課題を行った学生は平均5分程度で2人の会話をさえぎったのに対して、もう一方の礼儀正しさに関わる単語群を用いて課題を行った学生の82%は10分経っても会話をさえぎらなかったということです。

つまり、無礼に関する単語に触れた被験者は横柄で無礼に行動したのに対し、礼儀正しさに関する単語に触れた被験者は礼儀正しく行動したということです。

プライミング効果とは先行する刺激の処理が後の刺激の処理を促進または抑制する効果です。

私たちがどのような言葉や情報を見たり、聞いたり、読んだり、語ったりするか、ということが、後の言動や思考や感情に影響を及ぼすということです。

ですから、明らかに間違っているという情報やフェイクニュースなどに晒されていると、それによって悪影響を被ることになるのです。

ではどのようにしたらよいのでしょうか。

それは入手する情報について「その情報は真実か?」また「その情報は自分によい影響を与えるものか?」と自分に問うことです。

情報を裏付ける事実があるか、自身の内と外に求めるのです。

情報は自分を真に幸せにするものかということを、自分の心に聞いててみることです。

まず情報収集においては量より質に拘るという意識が大切なように思います。